伝統の大和絣を復活

NHK
2023年11月27日 午後6:01 公開

奈良伝統の大和絣という織物。

明治時代には全国に知られるほど人気がありましたが、

半世紀あまり生産が途絶えていました。

この伝統の織物を現代によみがえらせた斑鳩町の染織作家を取材しました。

(西村 亜希子)

奈良県伝統の織物、大和絣。

白い木綿の生地に紺色の井桁や十字を組み合わせた独特の柄が特徴です。

幕末から明治時代にかけて全国に広まりましたが、生活様式の変化などで

昭和40年代には生産が途絶えてしまいました。

斑鳩町在住の染織作家、亀山知彦さんは

京都で修行していた5年前、偶然、大和絣の存在を知り、復活させようと誓いました。

亀山知彦さん:

「ずっと奈良で織られていたものが今、織られていないので、  その部分にすごく自分が興味を持ちました。  自分も奈良の人間だし奈良の織物がなくなっているのなら挑戦してみたい」。

復活に向けて動きだした亀山さんでしたが、その道のりは簡単ではありませんでした。

道具もなく、作り方も他の織物の技法を参考にしながら試行錯誤が続きました。

大和絣の特徴である独特の柄は、色の違う糸を組み合わせて織り上げることで作り出されます。

大和絣をつくる工程は10あまりありますが、亀山さんの工程は以下の通り。

●まず柄を紙に書き込んだ図案を作ります。

●そして、材料となる糸を紺と白に染め分けます。

このときに白くしたい部分に染料が入らないよう糸をくくって下準備をします。

作品の仕上がりを左右する重要な工程で、この部分だけで3週間はかかるといいます。

●染め上がった糸を機織り機にセット。

●それを慎重に織り進めていくと図案通りの柄が出来上がります。

これらの作業は本来、分業ですが、亀山さんは1人で行っています。

そのため、反物1本作るのに3か月あまりかかるといいます。

復活に取り組みはじめて5年余り。

亀山さんはようやく納得のいく作品を作ることができるようになったといいます。

亀山知彦さん:

「大和絣をやってみようと思ったことで、自分の今まで作っていたものにはない感覚。 昔の大和絣を 制作していた人と通じ合えたような感覚があって、それを感じたときに自分はこれしかないし、これをやっていたら楽しいと思えたので続けようと思いました」

亀山さんは大和絣を多くの人に知ってもらうための取り組みも進めています。

今年10月、奈良市で開かれた展示会では、亀山さんがこれまでに手がけた作品が会場に並びました。

亀山さんは

一つ一つの作品についてコンセプトや作り方などを丁寧に解説していました。今後は、伝統にとらわれない新しいデザインにも挑戦し、これまでにない大和絣を作り出していきたいと考えています。

亀山知彦さん:

「自分なりに大和絣を進化させたい。美術としてももっとカジュアルにも、 たくさんのものに使っていけたら。 復元がゴールではなくそこから自分自身も大和絣とともに成長していきたいし、また広めていけたらいいと思っています。

西村 亜希子