「ん、なんだコレ?最高速度が…よく見えない!」
車の運転中に、道路標識の一部が剥がれてしまっていたり、曲がって見えにくくなったり、などで困ったことありませんか。
なぜそのままなの?いったい更新はどうなっている?
道路標識をめぐる「なぜ」について取材しました。
(津放送局 伊藤憲哉)
そこら中にあった!問題ありの道路標識
「道路標識が剥がれていたり、折れ曲がったりしているのを見かけます。道路標識のメンテナンスはどうなっていますか?」
NHK津放送局に視聴者の方からこんな疑問が寄せられました。
私自身は車を運転する機会がほとんどないので、「そんな標識あったかなぁ」というのが最初の印象でした。
“問題のある標識”を探すためにカメラマンとともに津市内などを車で走ってみることにしました。
すると…。
「ここの標識は剥がれていて、何も見えない」
「あ、こっちにもあります!これはひどい」
「うーん、時速4キロ?40キロの『0』が剥がれたんだろうけど」
「あそこの標識は角がぐにゃりと曲がってる。トラックなどがぶつかったのかな」
などなど、そこら中で“問題のある標識”を発見。
2時間半ほどの間におよそ20か所も見つけてしまいました。
町なかをなんとなく走っただけでこれだけ見つかるということは、県内全体ではかなりの数に上るのではないでしょうか。
ドライバーも困っている!
ドライバーにも話を聞いてみました。
「運転していて標識が剥がれていたことがあって、困りました。安全性の面でも危ないなと思います」
「仮に一時停止の標識が壊れていたら本当は一時停止しないといけないのにできないってことですよね。見えないと困るし、もしそれで事故を起こしてしまったらもっと困る。直せるならすぐにでも直してほしいですね」
やはり、こうした経験をしたことがある、というドライバーは多いようです。
更新の最優先は倒壊危険性のある場所
では、なぜ、見えづらいままの標識がたくさんあるのか、そして更新やメンテナンスはどう進めているのでしょうか。
道路標識の設置を行っている警察に聞いてみました。
「何年たったら必ず替えると決まっているわけではないですが、耐用年数は何年かと聞かれれば、道路標識の柱部分は30年です。でも、標識の板は特にありません」(県警察本部交通規制課)
優先度があるかどうかについては…。
「優先的に更新するのは、柱のさびが進行していて、倒壊の危険性があるものですね」
倒れてきたら大きい事故につながるかも知れません。確かにそれは早く更新しないと危ないです。
予算に限り…追いつかない更新
実際に、伊賀市内で道路標識を柱ごと更新する作業が行われる予定があるとのことだったので、現場にも行ってみました。
この日の更新作業は、最高速度時速40キロを示す標識。
標識板はかなり見えづらく、柱もすっかりさびている状態で、根元から切って取り替える作業が行われていました。
標識板には特に耐用年数がないということでしたが、柱ではなく標識板に問題がある場合はどうなるかについては「学校の通学路や事故が多発しているところなどの優先度が高くなる」と話していました。
問題のある標識を一度に更新できればよいのですが、予算にも限りがあります。
2022年度は県警が更新が必要だと判断した1500本のうち、実際に更新できるのは1200本にとどまるということでした。
そして2023年度は、およそ1億8600万円の予算をつけて今年度より100本多い1300本の更新を行う予定ですが、それでもなかなか追いついていないのが現状です。
問題ある標識を見つけたら教えて!
警察によると、県内には標識板がおよそ13万枚、それを支える柱がおよそ11万4000本。
警察でも、標識の状況を調べるためのパトロールをしていますが、すべての標識の状態を把握するのは難しいのが実態。
警察では、県民への情報提供を呼びかけています。
「標識は常に経年劣化が進行しているので皆さんの身近にも老朽化した標識が残っているかもしれません。
『見にくい!』といった標識を発見した際には、最寄りの警察署もしくは県警のホームページに『標識BOX』があるのでぜひ知らせて下さい」(県警察本部交通規制課)
悲惨な交通事故を防ぐために設置されている道路標識が逆に事故を誘発するものになってはいけません。
日頃利用している道路で、少しでも標識が見えにくいということがあったら「誰かが伝えているのだろう」と思わずに、ぜひ警察に知らせてください。